コカブ;収穫前に寒冷紗を外す

コカブでも、小松菜でも、露地で栽培している作物は、収穫の最低1週間前には、寒冷紗を外し、作物を外気にあてます。これ、なんでだべ???収穫前日や2日前に開けたのでは、収穫直後にすぐにクタッとしてしまいます。感覚的には、作物を外気にあててシャキッとさせるべ!ということなんですが、理屈としてはどういうことなのか。インターネットのどこにも載っていませんだ。先日、岡安先生から、【ABA】【気孔の開閉】【サイトカイニン】【オーキシン】【水孔】...などのキーワードを教えていただき、やっとわかりました。
「平成24年度 愛媛大学農学部地域環境工学コース 地域環境水文学研究室」にとてもわかりやすい説明が書かれていたので、 17ページから転用します。(http://web.agr.ehime-u.ac.jp/~eng-hydro/2012hydro2-1.pdf
「空気が乾燥すると、気孔からの蒸散が上昇する傾向となり、植物は体内水分を多く失うことになります。これに対して、根からの吸水によって体内水分を保持しようとするが、この水分補給が蒸散速度に追いつかなくなると、気孔を閉じて体内に水分を閉じ込めます。土壌水分が乾燥によって低下しても気孔が閉じる。このとき、気孔を閉じさせる指令の役割をするのが、【ABA(アブシジン酸)】であり、植物の根で作られ、植物体内を蒸散流によって葉に到達する。また、体内水分が減少すると孔辺細胞かの膨圧が低下するため、気孔が閉じる反応をする」
これを寒冷紗外しの儀式に当てはめると・・・
寒冷紗を外すことにより、植物体をとりまく気温・湿度・植物体の温度などの環境は大きく変化し、それまでの環境に比べ過酷なものとなります。当然、湿度は乾燥傾向となり、蒸散が活発に行われ、根からの吸水は追いつきません。すると、気孔を閉じて水分を閉じ込めようとするため、根では、気孔を閉じさせる指令を出す【ABA】の生産が活発になり、ABAの量が増え、気孔の開閉を素早く行えるようになります。この期間が最低3日から1週間。1週間後に収穫すると、根からの吸水が止まり、植物体内の水分が低下し始めます。ABAの働きによって孔辺細胞が刺激され、気孔が閉じ、水分の蒸発を止めます。これによって、収穫後すぐにクタッとせず、鮮度を保つことができます(^^)
普段、なんとなくやっている寒冷紗外し、こんなにも深い内容だったとは。サイトカイニンという植物ホルモンの一種であるこのABA、まだまだ分からないことが多い分野であり、どういう条件の時にABAが増えるか、など様々な研究が行われているようです。