堆肥のC/N比と投入までの管理

半熟状態で9月下旬に購入したこちらの堆肥。

切り返しを1回行い、野積みにすること3ヶ月弱。表面はカサカサになり、糞の形も当然崩れ、すぐにでも使えそうですが、中はどうでしょう...ということで、断面を観察してみました(^^)購入時よりはこなれているけど、まだ形が残っています。当然、匂いはなし。でも、まだ早いようです。

3ヶ月前の堆肥購入時、地域を管轄する普及センターに問い合わせ、堆肥購入に関するアドバイスを求めたのですが、一般的な事は言えるがこればかりは実際のモノを見ないと正確なアドバイスは難しいということでした。堆肥の投入が初めての場合は特に、取り扱いとその投入量に注意するようにとのこと。
具体的には、これまで全く堆肥を入れずにある程度の作物ができている場合、通常量の堆肥(10aあたり2〜3t)を投入すると、発芽不良や生育不良に陥る可能性があるということ。そのため、慎重に慎重を重ね、カブとコマツナであれば初年度は10aあたり1t程度の投入から始めてはどうかとの結論でした。なぜそこまで気を使わなければならないのか...いろいろと教えてもらいました。

  1. 完熟のものを使用する(汁なし・乾燥・形なし・匂いなし!)
  2. 完熟のものを使用する場合でも、最低1ヶ月〜3ヶ月は野ざらしにする(コマツナはある程度の耐性があるが、カブは根菜類のため投入から作付けまでの期間を長く開ける)できれば1年程度野積みにしておき、それから投入する
  3. 牛糞は中に雑草の種子が混じっている場合が多く、発酵熱で死滅させる必要がある
  4. おがくずを混ぜている場合、その種類によっては(粗悪な建材などの場合)発芽不良を起こす可能性がある
  5. 塩分が抜けきらない場合、発芽不良を起こす可能性がある

などなど、一概に堆肥を入れる!なんて簡単には言えないことがよくわかりました(^^;)専門的な知識というよりかは、具体的なアドバイスをもらえたので、次は知識編に...岡安先生からのキーワード【C/N比】を頼りに、少し調べてみました。出処はこちらを中心に。「YANMER 営農PLUS 土づくりのススメ」(http://www.yanmar.co.jp/campaign/agri-plus/soil/articles/articles04.html

まず、堆肥の効用として、

 土壌物理性の改善 
土壌微生物は、団粒構造を作り、堆肥中に含まれる籾殻やバークなどの粗大有機物と合わせて、通気性や排水性などを改善する

 肥料成分の吸着 
腐熟した堆肥には腐植に似た物質が含まれ、カルシウム、マグネシウム、カリウムといった栄養素を吸着・保持し、供給する機能(陽イオン交換容量)を増加させる

 病原菌の抑制 
良好な堆肥は、多様な微生物相を維持し、病原菌の急激な増殖を抑制する

なるほど、ここまではなんとなくわかります。問題はここから。なんで完熟、完熟って言われるんだべかー??キーワードは【C/N比】と【窒素飢餓】です。

C/N比(炭素率)とは有機物に含まれる、窒素(N)に対する炭素(C)の割合を示した数値。微生物は、有機物に含まれる炭素(炭酸ガス)をエネルギー源として、また窒素をタンパク源として利用し、増殖する。この微生物が生存と繁殖を繰り返すことで、窒素や炭素が消耗されC/N比が低下する。つまり、堆肥化とはC/N比を下げていくことを意味する。

  • 竹      C/N比:280
  • おがくず   C/N比:150-1000
  • 樹皮・バーク C/N比:100-1300
  • 稲わら・籾殻・麦わら・剪定枝    C/N比:60-80
  • 豚糞・牛糞・米ぬか         C/N比:10-25
  • 肉片・鶏糞・酒かす・油かす・おから C/N比:15-10

C/N比20〜30を境に、稲わらなどC/N比が高い(炭素が多い)有機物は分解の過程で窒素を消費する。しかし、有機物自体で窒素をまかなえない場合は、土壌の窒素をも利用する。結果、作物が吸収するはずの窒素が稲わらの分解に利用され、作物の生育が阻害される(窒素飢餓)。窒素飢餓を起こさないためには、窒素を多く含む牛糞や豚糞などの窒素肥料を補う必要がある。堆肥の発酵には適切な水分が重要で、水分の多い牛糞や豚糞などを材料にする場合は、バークやおがくずなどで水分を調整し、通気性を良くして発酵を促す。(なるほど、うちで堆肥を購入した時、堆肥屋さんに「おがくず混ぜて準備してるんでちょっと待ってて!」と言われたのはこのことだったのですね)

C/N比の低い(20以下)有機物は一般に分解が早く、分解過程で無機態窒素を放出するので作物に対する肥料的効果が早く現れる。C/N比の高い(30以上)有機物では分解が遅く、分解過程で生成する無機態窒素は微生物の養分として取り込まれるため、肥料的効果は遅れる。

  微生物の作用     低 ← 20〜30 → 高         

  • 有機物の分解   速い    −   遅い
  • 無機態窒素    放出    −   取り込み
  • 窒素飢餓発生   無     −   有
  • 堆肥の腐熟度   完熟    −   未熟

今回購入した豚糞はC/N比10-25ということで、完熟させれば窒素飢餓の発生は少なく、有機物の分解が早いため、ある程度の肥料的効果も期待できるでしょうか。

堆肥作りの条件については、【温度管理と水分管理】が重要で、

発酵中の堆肥の温度の上昇は、雑草の種子や家畜由来の病原菌を死滅させる効果があるが、発酵温度が80度以上の高温状態では、堆肥材料のなかでも分解しやすい成分だけが分解され、高温に強い微生物と難分解性の有機物が残る。そして本来なら堆肥中に残る窒素成分が高温によりアンモニアとなって大気中に放出され、効用の低い堆肥となる。この状況を避けるため、切り返しを行い、堆肥温度の余分な上昇を避け、水分を適正に保ち、発酵を促進させることが重要である。

なるほど、要は、堆肥の材料が十分に発酵しやすいものを選ぶべきであり(発酵しにくいものであれば窒素分を多く含む材料を加える)、次に、定期的な切り返しにより、発酵熱と水分の均一化を目指すこと。

そして最後に、

堆肥化の過程で各過程に対応した分解菌が増殖する。増殖と消滅を繰り返しながら、最後には、多様な微生物相が形成される。しかし、分解途中の未熟な堆肥は、有機物分解にすぐれた特定の微生物だけが増殖し、微生物相が単純なものになり、植物に悪影響を及ぼすことがある。

 分解菌の話については有機物の分解プロセスを学ばねばならんので、また今度...(^^)というか、うちの堆肥はもう、3月以降は無用の長物です。誰か買ってくださいな 笑 2回切り返して油かすも入っていますょ♪