リウマチの方が主治医との関係を良好にする6つのポイント

リウマチの治療を始めた方で、自分の気持ちを主治医にうまく伝えられないという方へ。

主治医が患者さんとの関係においてどのような点に気を配っているのかが分かれば、ずいぶんと気がラクになりますよね。

本記事では「リウマチの方が主治医との関係を良好にする6つのポイント」と題し、『PRESIDENT』に掲載されている記事をご紹介いたします。

リウマチの方が主治医との関係を良好にする6つのポイント

 

「患者と医療者との良好な関係を築くためにー言葉の力について考える」と題されたこの記事、リウマチ治療の先生方がより良いコミュニケーションの実践に向けてディスカッションするという企画です。さらに大阪芸術大学の馬場典子先生(フリーアナウンサー)をお迎えし、コミュニケーションのポイントを伺うという目的を合わせもっています。(『PRESIDENT』2017年5月29日号 雑誌コード27655-5/29)

 

1.医療とビジネスの共通点(コミュニケーション)

雲海 青空 クリア

先入観を持たないクリアなコミュニケーション

患者さんとのコミュニケーションとビジネスのコミュニケーションには次の3つの共通点があるといいます。

  • 先入観のない「傾聴」
  • 未来・肯定を意識した「質問」
  • 相手に合わせた「承認」のメッセージ

「傾聴」「質問」「承認」とはコーチングのスキルで、ビジネスでは顧客との関係やプレゼン、上司と部下、同僚との関係など幅広い場面で必要となりますよね。日髙先生によると「傾聴で大事なのは先入観をなくし、相手の話す内容をありのままに理解し、最後まで聞くこと。かつ相づち、おうむ返し、要約などで効果を高める」ことであるといいます。顧客のニーズを直接汲み取るような部署やカスタマーセンターでは必須のスキルですよね。また「傾聴」はカウンセリングの分野で「受容」「共感」に次ぐもっとも基本的な対話の姿勢でもありますよね。

ここで重要なことは、「先入観をなくす」ことのようです。人間はどうしてもその方との過去の付き合い(良い経験・苦い経験)をもとに相手と接してしまいますよね。その結果、過去の経験に基づく判断を下してしまいがちで、極端な言い方をすれば「過去」を生きていることになりますよね。本来ならば接するごとにその方との関係をリセットし、次の関係を結んでいかなければならないようです。

(社会医療法人善仁会 市民の森病院 副院長 膠原病・リウマチセンター所長 日髙利彦先生)

 

2.「言葉を伝える」ポイント

眺望 眺め 青空

常にニュートラルな自分を意識する

相手に言葉を伝えるポイントは次の3つが重要となるようです。

  • 話し手よりかは、伝え手であること
  • 相手がどう受け止めるかまで想像すること
  • 傾聴とは本来「思いを汲み取る」「理解する」こと

馬場先生は、アナウンサーというバックグラウンドからコミュニケーションについてこのようにおっしゃっています。

  • キャッチボールに例えられますが、自分が投げやすいボールと相手が取りやすいボールは一緒とは限りません。…相手の話を引き出すことや言葉を発しない間を含めて「伝える」手段になると考えています。…相手がどう受け止めるかまでフィードバックすることがコミュニケーションには必要だと感じます。

(大阪芸術大学 放送学科 アナウンスコース 教授 馬場典子先生)

ボールを投げる時、どこをめがけてどんな速さで投げれば相手が取りやすいのか、言葉を発する時にも全く同じことが言えそうです。声の表情や話すスピード、声のトーン、そして顔の表情や体の動きなどの非言語コミュニケーションを含めて、常に相手がどう受け止めるかを考えることが大事である、ということですよね。そして話すときには「伝える」ことを意識しなくてはならないようです。相手がどこまで理解しているのか、どう受け止めているのかを推し量り、相手の反応を傾聴することで、コミュニケーション力の向上につながっていくのですね。

 

3.NURSの実践

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感性を研ぎ澄ませてニーズを汲み取る

岸本先生が米国研修医時代に学ばれた患者さんとコミュニケーションをとる技術は、その頭文字をとりNURSと呼ばれています。ビジネスにも深く通じるものがあります。

  • Naming(感情的な問題を明確にする)
  • Understanding(理解を示す)
  • Respect(相手に敬意を払う)
  • Support(共感、援助)

顧客の抱える問題(ニーズ)を浮き彫りにして、それに対する顧客の思い・気持ちを確認する「Naming」、それに理解を示す「Understanding」、顧客がこれまでにとってきた対策や方法を「Respect」し、当社の商品がどのように役に立つのかという提案を通じて「Support」するという一連の流れに置き換えることができますよね。

ここでわかることがもう一つあります。医療現場であろうとビジネスの現場であろうと、肝心な最初のスタートは「課題の掘り起こし・明確化」であるようです。またコミュニケーションは言葉のキャッチボールであるという観点から、次のように述べられています。

  • 「どうお感じですか?」「いかがですか?」といったOpen Questionで患者さんに問いかけ、患者さんが言いたいことや疑問をきちんと最後までお話頂けるような十分な時間を作ることも重要

(聖路加国際病院リウマチ膠原病センター 医長 岸本暢将先生)

 

4.Shared Decision(シェアされた決定)

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信頼関係と治療方針

治療の進歩に伴って患者さんがこれまで通りの生活を続けることができるようになった背景には、患者さんと主治医が同じ目標を持つという努力がなされてきたようです。具体的には「Treat to Target(T2T):目標達成に向けた治療」という概念があるようです。T2Tの「基本的な考え方」には「リウマチの治療は患者とリウマチ医の合意に基づいて行われるべきである」とあり、患者さんとのShared Decision(シェアされた決定)に基づく診療が重視されているようです。

岡田先生は具体的に次のように述べられています。

  • 治療法を選ぶために必要な情報(リスクや費用、効果など)を全て伝え、医療者側の考えと理由を説明し、患者さんの考えが一致した時点でそれが「Shared Decision」となります。このプロセスは最初に「Decision」(決定)ありきで行うインフォームド・コンセントとは明らかに異なり、患者さん自身が納得し「Decision」を得るため、積極的な治療参加や個別化医療の実現につながると考えられます。

(聖路加国際病院リウマチ膠原病センター長 岡田正人先生)

ビジネスの場面においても、双方にとってどのような状態がゴールであるのか顧客と確認すること自体が、Shared Decisionに至るための一歩ですよね。

 

5.動機づけ面接法(Motivational Interview)

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Open Questionで前向きな発言を引き出す

「動機付け面接法」、これは治療方針決定の場面において、患者さんの積極的な発言を引き出すために重視されている方法のようです。もともとはアルコール依存症の患者さんを治療するための手法で、金子先生は次のように述べられています。

  • 禁酒の必要性について自分自身で考え、禁酒のメリットを想像しながら動機を引き出していくという手法です。患者さんは皆変わりたくないという気持ちがあり、新しい治療に踏み出すため、MI的に関わることで、変化に対する前向きな発言(自分は変わりたい)を引き出すことが重要。Open QuestionもMIの技術の一つです。

(慶應義塾大学医学部リウマチ内科 講師 金子祐子先生)

ビジネスの場面でも、現状を改善することに二の足を踏む顧客から前向きな発言を引き出すためには、担当者の接し方が重要になってきます。商品やサービスのメリットやデメリットを伝え、顧客自身が成功をイメージできるかどうかが導入のモチベーションを左右してきますよね。同時に、問題意識を呼び起こす時や問題点に顧客自ら気づいてもらいたいときにも使えるようです。さらに、社内において部下や同じチームのメンバーのモチベーションを維持したり確かめたり、上げたりする場合にも意識したい方法のひとつですよね。

 

6.「言葉」が持つ力

山道 展望台 一本道

病気を克服するためのブレない目標

最後に先生方は、言葉の力について次のようにまとめられています。患者さんと向き合う先生方は、私たちの想像以上にコミュニケーションの重要さを肌で感じ、より良い診療のために研鑽されていることがわかります。

  • 言葉には意味や魂がこもっていて、口に出したことが現実になるという「言霊(ことだま)」はよく知られていますが、これは本当にそうだなといつも感じています。(馬場先生)
  • マザー・テレサの言葉で「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。」というものがあります。結局、気持ちが言葉になってその言葉が実際の行動につながっているんですね。(金子先生)
  • 私はここ数年、1年の目標を「ネガティブな言葉を一切使わず、全てにポジティブな言葉を使うこと」としていて、それを日々心がけ実践していくことが自分の財産になっているように感じています。(岡田先生)
  • 日常診療では真摯に患者さんと向き合い、私たちの思いを言葉でしっかり伝えること、そして患者さん自身から前向きな言葉が発せられるように支え、導いていくことが私たちの役割ではないかと思います。(日髙先生)
紅葉 渓流 滝

長い闘病生活には良好な人間関係が必要

最後に…

ここまでの長文をお読みくださいまして、本当にありがとうございます。
本記事では「リウマチの方が主治医との関係を良好にする6つのポイント」と題し、

  • 医療とビジネスの共通点(コミュニケーション)
  • 「言葉を伝える」ポイント
  • NURSの実践
  • Shared Decision(シェアされた決定)
  • 動機づけ面接法(Motivational Interview)
  • 「言葉」が持つ力

6つご紹介しました。

主治医との関係に悩まれる方、治療に対する自分の気持ちが伝えられないと感じている方にとって、ビジネス上のコミュニケショーンと共通していることがあるんだという気づきがあれば、一歩前に進むことができますよね。

以上、
「リウマチの方が主治医との関係を良好にする6つのポイント」でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。