パイプハウスにありがとう

家庭菜園や趣味の範囲で農業を営まれる方で、新たにパイプハウスを購入・建設されるという方へ。

ハウスがなければ1年中農作物を作ることはできませんよね。

本記事では「パイプハウスにありがとう」と題し、パイプハウスへの3つの感謝をご紹介いたします。

パイプハウスにありがとう

 

1.天候から守ってくれることにありがとう

パイプハウス 骨組み トンネル

補強を入れたパイプハウスの骨組み

冬の間に野菜を育てるには、パイプハウスが必須ですよね。パイプハウスの中で暖房を焚いて室温を上げながら野菜の成長を早めることができます。もちろん、露地で小型のトンネルを使って栽培することもできますが、保温性の点でパイプハウスとは大きな差が出ます。また、苗を作る時にもハウスは必ず必要となりますよね。本圃に植え替えるまでの間、病気や害虫に侵されていない元気な苗にしなければなりません。暑さや寒さ、霜、雨(湿度)、雪、暴風、害虫、病原菌といった外のあらゆる厳しい環境から守ることのできる、唯一の「安心どころ」であるといいます。

野菜にとってベストな環境を作るための基礎となるパイプハウス。ホームセンターで骨組みを買うことのできるものから、柱の基礎をコンクリートで固めるような鉄骨タイプのもの、連棟タイプのものなど値段から大きさまで様々です。近郊農業が盛んな埼玉県や千葉県では、ハウスの間口が2間(3.6m)のものや2.5間(4.5m)のハウスまではビバホームやジョイフルホンダなどで資材を購入することができます(パイプの径が22.2mmのものまで)。それ以上大きなハウスになると、自力で建てることは難しく農協や地元の種屋さんなどを通じて、ハウスメーカーに依頼することとなります。数年前、関東地方を襲った大雪で多くのパイプハウスが倒壊し、関東一円が資材難に見舞われたことは記憶に新しいですよね。日本の農業の周年栽培を支えているもの、それがパイプハウスです。

パイプハウス 倒壊 雪

雪の重みで倒壊したパイプハウス

ハウスには換気の機能も付いており、ハウスの両脇のビニールを巻き上げるタイプの換気機能や、天井の一部が解放されるものなどがあります。もちろん解放される部分には、虫よけのネットや色つきのネットが付いており、害虫が飛び込めないようになっています。トマトのハウス栽培などは、気温がある一定の温度に達したら自動で天井が解放されるよう、また雨を感知して天井が自動で閉まるようにコンピューターで管理されているハウスもあります。灌水の装置を引き込んで自動で灌水したり、太陽の光を調整するために遮光の資材をつけることもできます。

 

2.病害虫から守ってくれることにありがとう

トマト ハウス 栽培

トマトの栽培には欠かせないパイプハウス

トマトやキュウリ、ピーマン、メロンなどの果菜類にとって、害虫は絶対に避けなければいけない要素です。トマトやキュウリは長期間の栽培となるため、一旦虫が入ってしまうと次から次へと被害が広がり、収穫量と品質を確保することが難しくなってしまいます。また、害虫が病原菌を運んでくることがあるため、虫の被害だけでなく病気を防ぐためにも、害虫を入れることは許されません。

ハウスの両脇には目の細かい防虫ネットを張り、換気をした時に虫が入らないようにしたり、ハウスの出入り口にネットを吊るして侵入を防いだりと出来うる限りの害虫対策を行います。防虫ネットの目が細かすぎても換気の効率が悪くなるため、鉄骨タイプの大型ハウスでは天井に大型ファンを備えた送風機をつけたりもします。一つの条件を徹底的に追及すると、逆に他の条件が不利になってしまうため、一般の農家では、次のように虫対策を行います。

  • 苗の植え付け前に土壌消毒を行う
  • 苗は耐病性のあるものを使う(害虫が持ってくる病原菌に強い品種)
  • ハウスには目の細かいネットを使用
  • 苗を植え付ける前の農薬の散布
  • 栽培中の農薬散布

何重にもセーフティネットを張ることで、害虫の侵入やその被害を最小限に食い止めようとするのですね。この考え方は露地栽培でも同じことが言えるようです。ある意味、農業は自然条件との闘いでありますから、露地であれハウス栽培であれ、「セーフティネット」という考え方に基づいて、栽培に臨んでいるようです。

 

3.光合成の促進にありがとう

朝日 パイプハウス 光合成

光合成の速度を速めるパイプハウス

パイプハウスのもう一つの大きな役割、それは植物体の成長を早めることです。植物体は、二酸化炭素と水を使い、適度な気温があって初めて光合成を行います。朝の早い時間からハウスを締め切り、密封することでハウス内の気温はグングン上がりますよね。ある一定の温度に達すると植物体は光合成を始めますので、ハウスがない場合に比べて、光合成を早く始めることができそのスピードを速めることができます。暖房器具を備えているハウスでは「早朝加温」を行い、光合成が始まるまでの時間をさらに早めることができます。ハウス内の気温が一定の温度を超えたならば、換気によって最適な温度に持っていくことができます。

トマトなどの栽培では気温だけでなく二酸化炭素の濃度にも気を使うようです。ハウス内の空気の割合は、ビニールやネットで覆われて外気が入りづらい環境であるため、二酸化炭素の濃度が薄くなると言います。そこで早朝にトマトの株元に高濃度の二酸化炭素を一定時間放出し、ハウス内の二酸化炭素を光合成に適した濃度にまで持っていくということも行っているようです。

また、ハウス内は雨が入ることがないため、比較的乾燥にさらされることになります。潅水装置によって土の中の水分や湿度を調整することで野菜にとって最適な環境を作ることができます。露地の場合、水の管理については天候任せということもあるのでしょうが、ハウスがあることで露地栽培よりもシビアにならなければならないことも多々あるといいます。

農業とはなにか。こんな問いがあるならば、ー野菜にとって最適な生育環境を作ることー と答えることができそうです。

パイプハウス 資材 倉庫

資材庫や作業場としても使えるパイプハウス

最後に…

ここまでの長文をお読みくださいまして、本当にありがとうございます。
本記事では「パイプハウスにありがとう」と題し、

  • 天候から守ってくれることにありがとう
  • 病害虫から守ってくれることにありがとう
  • 光合成の促進にありがとう

3つのありがとうを追いかけてみました。

日本の食を守る農業がパイプハウスによって支えられていることがわかれば、農業に対する見方も変わってくるかもしれませんよね。特に、野菜の値段はほぼ変わっていないのに、昭和の頃に比べ資材費用は倍近く上がっていると言います。今後、日本の農業経済はどうなっていくのでしょうか。

以上、
「パイプハウスにありがとう」でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。